ベーシックゾーン
不可能立体
basici-07
不可能立体を鑑賞しながら、視覚の不思議さについて学ぶ。
解説Explanation
例えば、ある向きから見ると「ハチ」の形に見えるのに、別の向きから見ると「ハチの巣」に見えるなど、あり得ない振る舞いをするように見える立体を「不可能立体」と言います。実在する立体なのにあり得ないように見えるのは、網膜画像から実際とは違う奥行きを想像するからです。
人間はさまざまな手がかりから、見ているものの立体感を感じとります。最も強力な手がかりは、左右の目で見える形のわずかな違い(両眼視差)を利用したものです。ですから、普通は両目で見ると奥行きを間違えることはありません。でも、ここに展示した立体の錯視はとても強く、両目で見ても奥行きを間違えてしまいます。
深堀りDeep dive
展示されている不可能立体は、人間が形状を物体の外側を縁取る形(輪郭)でとらえるという性質と、見ている立体の輪郭を、「ある形の立体をスパッと切り取った平らな図形」であると考えてしまうことが原因で起こる錯覚です。
本当は、立体のふちは平らではなく、高さが上下にデコボコしています。そのため、見る向きによって膨らんで見えたりつぶれて見えたりします。平面的な図形なら鏡で反対側から見ても同じように見えるはずですが、実際には見る角度が変わるため、形が変わって見えて、不思議に感じるのです。人間はさまざまな手がかりから見ているものの立体感をとらえようとします。左右の目の見え方の違いや、目のピント合わせなど、物理的な情報を手がかりにすることもあれば、たとえば、「床は水平で壁は垂直に決まっている」や「ものを切ったらその切り口は平らになるはず」といった常識も、立体感をとらえる手がかりとしています。今回の展示のように、実際の立体の形と、常識として知っている手がかりから得られる想像の形とが食い違っていると、「立体錯視(立体が本当とは違って見える現象)」が起こります。