ベーシックゾーン
永久機関?
basicg-10
永久機関を模した装置を見ながら、永久機関の概念と実現不可能性について学ぶ。
解説Explanation
外からエネルギーをもらわなくても、外部に対して永久に仕事をし続ける、あるいは、外から熱エネルギーをもらい、それを外部への仕事に完全に変え続ける装置を「永久機関」と言います。このような装置を実際に作ることは科学的に不可能であることがわかっています。
永久機関が実現すれば無限にエネルギーを生み出せることになるので、昔からさまざまな装置が考えられてきました。しかし、装置の中で動く部分があるということは、エネルギーが摩擦などで熱として失われてしまい、いずれ止まります。実際には外からエネルギーを受け取っているものがほとんどです。

深堀りDeep dive
永久機関は2種類に分けることができます。外から電気などのエネルギーをもらうことなく、外部に「仕事」を永久に行う装置を「第1種永久機関」と言います。ここでの仕事とは、たとえば物を持ち上げたり、水を汲んだりするような、装置の外側を変化させることを指します。 何もないところからエネルギーを作りだすことは「エネルギー保存の法則」に反するため、実現できません。
一方、外から熱エネルギーを受け取り、そのすべてを仕事に変えて永久に続けることができる装置を「第2種永久機関」と言います。こちらも、熱エネルギーは高温の物体から低温の物体へと移動し、逆に熱を低温の物体から高温の物体へ移動させるにはエネルギーが必要となるため、実現できないことが知られています。
ところで、こんな思考実験(頭の中で想像してみる実験)があります。ある箱の真ん中に小さなドアの付いた壁をつけて2部屋に区切り、ドアをエネルギーなしに開け閉めできるようにします。ここに、分子の温度を見分けることができる悪魔がいたとします。すると、悪魔はドアを開け閉めすることで、温度の高い分子と低い分子をそれぞれの部屋に分けることができます。エネルギーを使わずに温度差を作り、それを利用してエネルギーを取り出せることになります。この矛盾(パラドックス)はこの思考実験を1867年に考えた科学者ジェームズ・マクスウェルにちなんで「マクスウェルの悪魔」と呼ばれています。
長年科学者を悩ませてきたマクスウェルの悪魔でしたが、この矛盾は1980年代以降、情報と熱力学の関係が解明されることで解決し、やはり永久機関が不可能であることが改めて確認されました。
キーワード
- # マクスウェルの悪魔
- # 永久機関
参考・引用
- 沙川貴大、上田正仁、Maxellのデーモンと情報熱力学、数理科学 No. 545(11月号), pp.18-23、2008年
- http://cat.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~ueda/27.pdf